★ 歩を合わせ杖になりつつあゆみゆく手つなぐ姥の温もり受けて
★ 手助けを断る老いは装具付け麻痺なる足を一歩踏み出す
★ 脱水のしわ寄るままを干しており独り暮らしの老いは背を曲げ
★ 出来ること老い一つずつ失いぬ絞りしタオル絞れておらず
★ 献体の手続き終えぬと老い友の笑みて語れる眼差し深し
★ 我が子さえ覚えて居らぬ老い歌う炭坑節に手拍子合わす
★ 何一つ反応示さぬ老いに向き応え返らぬ話し続くる
★ デイケアの老いに生かされ心満つ重ぬる姥の皺の手温し
★ 思いがけぬ返事嬉しく受話器手にお辞儀ふかぶかと繰り返しいつ
★ 歌会の詠草コピーにかけ終わり抱けば温し春の雪降る
★ 君逝きて空きしベッドに今朝すでに見知らぬ人の眠りておりぬ

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